発行日:2023年1月1日
キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を
歓迎しない会ニュース No.99
電子版
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2023年頭のごあいさつ
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昨年は歓迎しない会の活動にご協力いただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。
コロナ禍がまもなく4年目に入ります。第8波で感染者が激増、さまざまな行事や、日常生活にも影響を及ぼしています。私たちの周辺でも平均で五人に一人がコロナ感染という事態が続いています、戦々恐々とした毎日が続いています。どういうわけか、米軍基地のコロナ感染情報は全く出てこなくなりました。中の状況は不明ですが、米軍の情報管理、自分たちに不利な情報は出さないという状況が続いています。一方で中国等のコロナ感染情報は、意図的に流されています。
キャンプ座間を取り巻く問題、相変わらずです。昨年は「ゴルフボールの飛び出し」がひどくなりました。私たちや自治体が問題にしてもなかなか動きませんが、粘り強い交渉、申し入れの結果、南関東防衛局も重い腰を上げ、穴あきだらけの防球ネットの補修だけは行いました。「ゴルフ場を返還しろ」、「外周道路の返還を早く」という要求は無視したままですが。
キャスナー飛行場(キャンプ座間のヘリポート)を離発着するヘリコプターの騒音や低空飛行の問題は軽減されることなく、周辺住民からの苦情は絶えません。キャンプ座間所属のヘリが東京都心や横田基地でも低空飛行を繰り返していたことも明らかになりました。沖縄で環境汚染が問題になった有機フッ素化合物は、座間キャンプ周辺の河川や地下水からも検出されていますが、キャンプ座間内の地下にどれほどの量が浸透しているかはいまだ明らかにされていません。調査も行われていません。
新しい年を迎え、キャンプ座間の基地強化を許さないこと、市民の安全安心な暮らしを脅かさないことを、一層声をあげていく必要があります。新年は歓迎しない会が結成して20年目の年です。皆さまと課題を共有するためのフィールドワークなどを本年も行っていく予定です。ぜひ積極的なご参加をお待ちしています。課題解決に向け、ともに頑張りましょう。
共同代表 金子豊貴男、長瀬未紗
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[報告]
2022.12.4
歓迎しない会 第19回総会 & 学習会
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「歓迎しない会」の第19回総会を12月4日、座間市の市民交流プラザ「プラっとざま」の多目的ラウンジにて開催しました。また、総会議事後の企画として、「相模原台地の地下水とフッ素汚染」と題するレクチャー&学習会を行いました。
最初の総会議事は、22年度の経過報告、活動報告、会計報告、そして23年度の活動方針を事務局より提起し、了承を頂きました。
1年間を振り返りますと、依然として新型コロナウイルス感染が波状的に継続し、私たちの活動もそれらに配慮しつつとなりました。
そのような状況下ではありましたが、米軍のヘリ騒音、基地内ゴルフ場からのゴルフボール飛び出しの問題に継続して取り組むとともに、フィールドワークによるキャンプ座間及び基地関連の監視を続けることができました。
また、全国の米軍基地等で、泡消火剤に用いられている有毒な有機フッ素化合物が基地外へ流出し、地下水や河川を汚染していることが問題となっています。神奈川県内でも横須賀基地、厚木基地からの流出、座間市内の河川や水道水に用いる地下水の汚染などが現実となっています。キャンプ座間でも泡消火剤が保管されていると考えられるため、私たちも学習会を開催するなど、この問題にも取り組んでいます。
キャンプ座間の米軍、及び自衛隊の部隊構成については大きな変化はありませんが、米国を主体に日・豪などによる対中国包囲網が強化され、「台湾有事」を口実とした多国間軍事演習が繰り返し行われ、日本政府は南西諸島での自衛隊基地建設とミサイル部隊の配備を進めています。キャンプ座間には米陸軍第1軍団前方司令部が駐留し、陸自の陸上総隊司令部日米共同部と庁舎をシェアして、相互の連携をとっています。キャンプ座間の動向には、今後も注目していきます。
日本の防衛予算は年々増大してきましたが、ついに岸田政権は、来年度から5年間で倍増させることを決定しました。12月16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」などの新たな防衛3文書では、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」保有を謳い、5年後の27年度の防衛費が11兆円にまで倍増されようとしています。12月23日に決定した来年度予算案は、22年度当初比26.3%増の6兆8219億円(米軍再編経費などを含む)と、これまでにない増額となりました。
総会開催時点では、8月に示された防衛省の23年度予算概算要求の紹介でしたが、金額は計上せずに「事項要求」として、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」としての「スタンド・オフ・ミサイル」の開発・量産が示されており、すでに年末の決定が想定されたものでした。
私たちはこのような日本政府の大軍拡政策と米国とともに戦争するための体制づくりに反対し、引き続き基地負担の軽減、基地の閉鎖・返還を求めます。基地問題を闘う各地の仲間とともに声を挙げていくことを確認し、総会議事を終えました。 (編)
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事務局体制について
23年度の事務局については全員留任とし、総会で了解をいただきました。
引き続きよろしくお願いします。
共同代表 金子豊貴男、長瀬未紗
事務局長 松本憲明
事務局次長 安海のぞみ、山村充夫、松本貴裕
会計 岩本香苗
会計監査 加藤陽子
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学習会
相模原台地の地下水とフッ素汚染
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議事終了後に行っている企画は、元座間市職員で環境カウンセラーの並木保男さんを講師にお招きし、座間の地下水についての学習会を行いました。
2022年は米軍横須賀基地や厚木基地からの有機フッ素化合物(PFAS)流出が大きな問題となり、座間市や相模原市周辺からも地下水や河川から国の定める暫定目標値を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出されていますが、汚染の原因についてはまだ分かっていません。並木さんは職員時代、環境部署や水道部署を経験されたことから、地下水や水道施設に精通しています。
当時、多摩丘陵と相模川に挟まれた相模原台地を自らの足で歩き、地形や水量から地下水の流れを推測し、地形図に描いていました。実際にその地形図を見ながら解説していただき、地下水の流れからのPFAS汚染の原因について、並木さんの見解をお話しいただきました。その後はそれぞれの立場や見解から議論を行い、充実した学習会となりました。
そもそも問題は、米軍が日本側に対し十分な説明・情報公開をしないことにあると考えます。全国では米軍基地周辺から高濃度のPFASが検出されており、横須賀では2022年5月に基地内の排水処理場で「特異な泡」が見つかったことが発端となり、米海軍の調査によって、国の定める暫定目標値の2.24倍となる1リットルあたり112ナノグラム(その後8月の検査では8592ナノグラム)が検出されました。横須賀市は日米地位協定に基づく立ち入り調査を求め、要求から2ヶ月以上経った12月15日、PFAS吸着のためのフィルター設置や汚泥除去がすすみPFASの濃度が下がった頃、ようやく立ち入り検査を行うことができました。この間、横須賀市は排水停止を求めてきましたが、米軍は排水を海に流し続けてきました。
厚木では2022年9月24日に飛行場の泡消火薬剤が放出されたと米軍からの通報で明らかになりました。豪雨によるシステムの誤作動が原因である可能性が高いということですが、正確な原因や放出量は明らかになっていません。米軍は浄化後に蓼川に放流したとのことですが、放流前に県や大和市、綾瀬市に連絡はありませんでした。また10月6日に行われた立ち入り調査では、泡消火剤が放出された格納箱の状況確認について県は求めていましたが、米軍はこれを認めませんでした。理由は明らかにされていません。
米軍が迅速で丁寧な説明や情報提供を行ってくれていたのならば、市民がここまで不信感を持つことはないかもしれません。基地周辺に住む市民は、基地内のことについては詳細不明と言われ続けています。PFASに関しても、キャンプ座間にはPFOS・PFOAを含む泡消火剤はないと南関東防衛局から回答がありましたが、いつまでどのように使われていたのか、詳細は回答がありません。説明がないままでは、PFAS流出の証拠はなくとも、不信感が募るばかりです。米軍や行政には情報公開や市民への説明を適切に行い、市民の信頼を得て、市民が安心して暮らしていけるよう求めていきます。
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総会・学習会の様子
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[新聞記事より]
日本政府、PFOSを「指定物質」に追加、米軍基地は対象外
政府は20日、各地の米軍基地周辺などで検出が続く有機フッ素化合物「PFOS」や、似た構造の「PFOA」など4種類の物質について、水質汚濁防止法に基づき「指定物質」に追加した。指定されると事故などで漏出した場合、応急措置や都道府県知事への報告などが義務づけられる。米軍基地は法律の対象外だという。
PFOSは、泡消火剤などに含まれているが自然界ではほぼ分解されない特性を持ち、発がん性が疑われている。国内では2018年度から輸入や製造、使用を原則禁止しているが、環境省によるとPFOSを含む泡消火剤は国内の消防や自衛隊の基地、空港などに約340万リットルある。
[朝日新聞web版 2022/12/20]
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