発行日:2022年11月11日
キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を
歓迎しない会ニュース No.98
電子版
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[報告]
キャンプ座間フィールドワーク
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毎年春と秋に行っているキャンプ座間のフィールドワーク。今回は、キャンプ座間の南側半周と2014年に起きた崖崩れの現況調査を半日かけて行いました。
11月5日秋晴れの中、相武台前駅に集合し、まずは歩いて大坂台公園へ。この日の参加人数は途中で合流した方も含めて16人に。
<スカイグリーンパーク>
展望台から、隣接する返還地公園「スカイグリーンパーク」が一望できます。2016年に正式に日本に返還された5.4ヘクタールの土地に座間総合病院や自衛隊家族宿舎、座間市消防庁舎が順にでき、残された公園部分は今年4月にスカイグリーンパークと命名され開園、7月には芝生の養生をしていたパークゴルフ場もオープンし、地区全域の整備は完了。
約1ヘクタールの公園の総事業費は、当初予定していた4億9千万円を大きく上回る9億7千万円となりました。3世代が楽しめる公園と銘打ってオープンしましたが、この日は週末にも関わらず利用はまばら。一方、公園の駐車場としては市内で初めて有料化された本公園の駐車場は、隣接する市体育館でのワクチン接種のためほぼ満車。
ちなみに、スカイグリーンパークは2年後には指定管理者の管理・運営となる予定で、年間3千万円の指定管理料となる見込みです。整備にも維持にも巨額がかかっています。
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オープンしたパークゴルフ場、後方は自衛隊官舎
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<キャンプ座間メインゲートから座間公園>
公園を出て坂を下り、キャンプ座間の正門へ。ここでは第1ゲートの両側にある陸自と米軍の案内板が新しくなっており、以前のより一回り大きくなっていました。これも恒例、ゲート前で記念撮影。
続いて座間公園へ。公園からフェンス越しにリトルペンタゴン・在日米軍司令部の建物をウォッチング。この日はなぜか星条旗のみ半旗になっていました。公園内には、陸軍士官学校時代の記念碑「軍馬功労碑」も堂々と建っています。キャンプ内にもいくつか遺跡があるそうですが、私たちがそれらを自由に見ることはできません。
一行は座間公園を抜けて相模原市の市道新戸・相武台線を見た後、新戸公園へ。ここからは米軍のモータープールがよく見えます。大型のスクールバスと、成田空港との間を定時運行しているリムジンバスが並んでいました。
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第1ゲート左側の新調された米陸軍看板
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中央の星条旗が半旗に、右側は「国連」旗
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<がけ崩れ現場>
さて、ここまで徒歩組は頑張って歩いてきましたが、ここからは車2台に分かれ、2014年10月にキャンプ座間のヘリポートで起きた崖崩れの現場へ。発生から7年経った昨年度からようやく工事が始まり、今秋、工事がほぼ完了したようです。砂防ダムのようなコンクリートの壁で固めており、斜面は芝生が養生されていました。今回で3度目となった崖崩れ。一歩間違えれば大惨事となります。適切な管理がされるよう、今後も注視していきます。
今回のフィールドワークのお楽しみ・・・。崖崩れ現場に隣接する畑で「新磯ざる菊まつり」が開かれていました。私自身、噂には聞いていましたが実際に見るのは初めて。広い畑に色とりどりのざる菊が咲き、ふわりと香りが漂い、ご褒美をもらったような気分になりました。主催者の話では、まもなく満開となり、白いざる菊が咲くと「平和」の文字が浮かび上がるそうです。真に平和なまちを、市民の手でつくっていきたいものです。(長瀬未紗)
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ほぼ完成したがけ崩れ箇所の復旧工事
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「新磯ざる菊まつり」の会場
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[報告]
MV-22オスプレイ5機 丘珠空港(札幌市)に飛来
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2022年9月28日、陸上自衛隊丘珠(おかだま)駐屯地に普天間飛行場から飛んできたオスプレイ5機が相次いで着陸しました。陸上自衛隊と米海兵隊の実働訓練=レゾリュート・ドラゴン22に参加するMV-22オスプレイです。この訓練は、2016年9月の日米合同委員会で合意された米軍再編に係る訓練移転(沖縄県外での訓練の一層の推進を図り、訓練活動に伴う沖縄の負担を軽減するとの名目)として、国内では15回目の実施となる大規模な共同訓練です。丘珠空港はオスプレイの整備拠点となりました。
今年8月には相次ぐ事故で米軍もその危険性を認識し、オスプレイは全機飛行停止になっていたため、9月3日の道内訓練の報道に接した市民の間には不安が広がりました。
これまでも訓練中止を求めてきた市民の会は9月22日、今回の訓練中止を求める要望書(ページ下参照)を道知事と札幌市長に提出しました。
日本各地に私たちと同じ思いの市民がいて、日米軍事一体化を監視し、生活環境悪化や市民生活の安全を守るための活動を続けていることを知り心強く思いました。 (岩本香苗)
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2022/10/22 岩本撮影
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北海道新聞webニュースより
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陸上自衛隊丘珠駐屯地に向け札幌市帰宅上空を飛行するオスプレイ
(9/28午後4時35分頃) 北海道新聞webニュースより
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[紹介]
日米共同訓練におけるオスプレイ訓練の中止を強く求める要望
2022年9月3日の朝刊での「オスプレイ道内広域展開 日米訓練 丘珠拠点5か所で」に目を疑いました。8月には、米空軍がCVオスプレイの事故が相次いでいることを理由に、全機を飛行停止したという報道があった矢先だったからです。CV22もMV22もクラッチの不具合で機体を制御できず事故を招く恐れがあるとのことであり「ようやく事故の危険性が認識された」と、ほっとした思いは打ち砕かれました。
防衛省の発表によると、北海道内で10月1日~14日に行う日米共同訓練に、沖縄の普天間飛行場から米海兵隊の輸送機MV22オスプレイが6機程度参加し、丘珠駐屯地を拠点に矢臼別演習場など道内5か所の自衛隊施設で輸送訓練を実施するとしています。
私たち「丘珠空港周辺の環境を考える市民の会」は、これまでも日米共同訓練においてMV22オスプレイが参加することに、事故の不安を訴え中止を求めてきました。にもかかわらず、こうした地域住民の不安の声を全く無視し、この度の訓練でオスプレイが道内を広域に飛行することに対し怒りと不安でいっぱいです。
丘珠空港周辺は住宅密集地であり、病院、学校、幼稚園、保育園、介護施設などが立ち並んでいます。一度事故が起きると大惨事になります。
丘珠空港は、日米地位協定にもとづき有事の際は、米軍が使用できる空港であり、こうした訓練を通し軍事利用の拡大が懸念されます。軍用機であるオスプレイ訓練を行うことは断じて許されません。
北海道防衛局長においては、私たち市民の不安の声を重く受け止め、住民の安全を第一に考え、日米訓練におけるオスプレイ訓練を中止するようを強く求めます。
(丘珠空港周辺の環境を考える市民の会)
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[解説]
キャンプ座間
がけ崩れ事故(2014年)とその対応について
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11月5日のキャンプ座間フィールドワークで、2014年のがけ崩れ箇所の復旧工事が完成したとの情報が寄せられ、最後にその現場を確認することにしました。([報告]キャンプ座間フィールドワークを参照)
やや古い話になるので、知らない人もいるのではと思い、がけ崩れ事故そのものと、その後の復旧対応について、過去のニュース記事を中心にしてまとめてみました。
がけ崩れ事故は2014年10月の台風により発生、直後にシートをかぶせる応急工事をしましたが、その後は手付かずのままでした。事故の翌年になり、歓迎しない会としても復旧工事を早く進めるべきと考え、ニュースでの報告、報道記者への働きかけなどを行いました。その当時のニュース記事などを以下に紹介します。
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歓迎しない会ニュース No.54(2015年7月28日) より

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前の記事は、「歓迎しない会」ニュースNo.54(2015年7月)の一部を再掲載したものです。当時、報道各社の記者に現場を案内したりした結果、多くの新聞、テレビなどで取り上げてもらうことができました。次の記事は、当時の記者発表資料としてまとめたものです。
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<記者発表資料>
2015年6月19日
キャンプ座間のがけ崩れ事故(昨年)について
相模原市議 金子豊貴男
キャンプ座間のヘリポート直下のがけ崩れ事故について
1 昨年10月6日、台風18号の影響による激しい降雨があり、キャンプ座間のキヤスナー飛行場ヘリコプター専用ヘリポートに降った雨が、基地フェンス外側・下部に位置する勝坂歴史公園斜面地に流下したため、基地敷地及び公園斜面地で、数十メートルにわたってがけ崩れが起こり、多量の土砂が、近くの市道まで流出する事故が発生した。
2 その後、国・南関東防衛局が応急工事を行い、崩落面はシートで覆われ、崖下には土砂の流下を防止する(1トンの)大型土嚢が積まれている。
3 しかし、崖崩れ・土砂流出事故の対応は、2の応急工事・対策に止まり、基地内の雨水排水設備工事など抜本的な対策は取られていない。がけ崩れの場所もシートをかけたままに置かれ、公園内の市民散策路が通行止めとなるなど、市民生活等に不都合な状況になっている。
4 梅雨の降雨期から台風シーズンを迎える時期に、現状の応急工事・対策のままでは、再度の崩落・土砂流出事故の発生が危惧され、市民生活の安全・安心の観点からも看過できない状況にある。
5 1991年(平成3年)9月には、今回の現場から数十メートル離れた地点でがけ崩れが発生し、負傷者3名、全・半壊家屋5棟、破損車両4台など、大きな被害が出ている。その時、現場の復旧工事は行われたが、基地内の雨水排出用の側溝整備などは一部の工事に止まり、抜本的な雨水流下防止工事は行われなかったと思われる。1991年のがけ崩れ災害への対応策が不十分であったことが、今回の災害事故の発生に繋がっているのではないかと考える。
6 米軍基地周縁地のがけ崩れ災害・事故や、それによる周辺隣接地の被害は、神奈川県内でも、根岸米軍住宅などで発生しており、市民の安全・安心の確保に向けて、米軍及び政府の責任あるしっかりした対応・対策が求められている。
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その後、なかなか復旧工事が始まらず、やっと2020年度に工事に入った直後、新型コロナ感染症の大規模感染により工事が停止してしまいました。そのいきさつを伝える2020年6月の金子共同代表の市議会での質問を、ニュースNo.84に掲載しています。(編)
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歓迎しない会ニュース No.84(2020年7月)より
ヘリポートのがけ崩れ事故のその後の対応について
[金子質問]
キャンプ座間のヘリポートの崖崩れのその後の対応です。勝坂歴史公園内に米軍へリポート、キャスナー飛行場の雨水が原因で、がけ崩れが起こってから6年が経ちました。現場は、浸水防止のシートがかけられ、フレコンバックに土砂を詰めて、これ以上被害が起きないような応急対策だけがされたままです。いまだがけ崩れの防止工事、公園の整備は行われていません。
集中豪雨や台風シーズンを控え、市民からは不安の声も出ています。市立の公園内の被害ということもあり、被害対策の工事はどうなっているのか、伺います。
[市長回答]
本年2月に南関東防衛局が入札を行い、本年度末を工期として工事を進めていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、現在、工事全般が停止しており、今後、工期の延長が行われる可能性がある。
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神奈川県内米軍基地のPFAS汚染問題
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座間市の水道に用いる地下水から、国の暫定目標値を超える有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)が検出され、2021年10月から一部水源(第3水源)からの取水を停止していることは、歓迎しない会ニュースでも伝えました。この座間市の有機フッ素化合物汚染については、いまだに原因が判明していません。
これとは別に、最近、神奈川県内の米海軍基地からの有機フッ素化合物流出が明らかになり、各基地内で今も有機フッ素化合物が使用あるいは保管されている実態が見えてきました。
米海軍横須賀基地では、今年5月の調査で排水処理場の排水から暫定目標値を超えるPFOS、PFOAが検出され、海に排出されていることがわかり、その後の調査でもより高いレベルの汚染が確認されました。
米海軍は排水浄化のフィルターを設置すると表明しましたが、これまで垂れ流し状態であったことが明らかです。横須賀市は基地内の立ち入り調査をもとめており、原因を究明しなければ根本的な解決にならないのですが、米軍の判断次第とのことです。
また、米海軍厚木基地では、9月24日、基地格納庫の泡消火剤が駐機場所に放出され、基地内を流れる蓼川に流出しました。米側は、豪雨によるシステムの誤作動の可能性が高いと説明しています。ところが、この泡消火剤にはPFOS、PFOAが含まれ、有害物質が基地外にまで流出したのです。
厚木基地周辺の蓼川や引地川からは、これまでにも暫定目標値を超えるPFOS、PFOAなどが検出されています。21年12月の沖縄タイムスの記事によりますと、厚木基地では、09年から16年までに泡消火剤を使用する事故が5件発生しているとのこと。これらの事故時に高濃度の有機フッ素化合物が基地外にまで流出した可能性は高いと考えられます。
原因究明のためには基地への立ち入り調査が必要です。また、有害物質を含む泡消火剤の保有・保管状況についても明らかにすべきです。(編)
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[報告]
2022.10.5
相模原市へ申し入れ
市内米軍基地の有機フッ素化合物を含む泡消火剤について
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米海軍の横須賀基地と厚木基地からの有機フッ素化合物流出事故を受け、神奈川県基地関係県市連絡協議会が10月3日、外務大臣と防衛大臣に対する緊急要請を行いました。
相模原市にも米陸軍のキャンプ座間、相模総合補給廠があり、有機フッ素化合物を含む泡消火剤などの保有・保管が懸念されます。歓迎しない会と相模補給廠監視団は、10月5日、相模原市に対して市内米軍基地の泡消火剤に関して、米軍及び日本政府に照会するよう、申入れを行いました。申し入れ書を次ページに掲載します。(編)
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「相模原市への申入れ」の新聞報道 (神奈川新聞 2022年10月6日)
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2022年10月5日
相模原市長 本村健太郎 殿
相模補給廠監視団(代表 沢田政司)
キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を歓迎しない会
(代表 金子豊貴男/長瀬未紗)
市内米軍基地での有機フッ素化合物を含有する泡消火剤について(申し入れ)
平素より、市民のいのちとくらしを守るため、様々な施策に取り組んでおられることに敬意を表します。
さて、今年に入り、横須賀基地と厚木基地で有害物質であることが明らかとなっているPFAS、有機フッ素化合物を含有する泡消火剤が流出、海と川に汚染水が流出する事故が相次いで起きました。
横須賀基地については、米軍当局は暫定基準値の数百倍に達するとの調査結果を明らかにしました。本年5月に流出が確認されたにもかかわらず、その事実が日本政府を通じて横須賀市に通知されたのは2カ月後とのこと。基地の外に流出する恐れがあった時点で、速やかに通知されなければならなかった事態です。
厚木基地の場合、9月24日に消火装置の誤作動で泡消火剤が放出、それが基地内の調整池からあふれ出し、基地内から綾瀬市の蓼川に流出したとのことです。汚染濃度の現在分析中とのことですが、河川への流出は市民のいのちとくらしに大きな脅威を与えるものです。
海軍だけでなく、空軍でも海兵隊でも、そして陸軍も泡消火剤を保有、使用されてきました。現在、暫時無害なものと交換中とのことですが、横須賀と厚木の両基地で起きた事故は、有害な泡消火剤が今も保有、使用されていることの証左です。
市内に3つの米軍基地を抱える相模原市にとっても、他人事ではありません。キャンプ座間には格納庫を有した軽飛行場があり、数機のヘリコプターが常駐しています。当然のこと、泡消火剤を保有しているはずです。また、相模総合補給廠に保管されている様々な軍用品、資材の中に泡消火剤も含まれている可能性があります。
過去に両基地とも環境汚染の発生源となった事故、その恐れのある出来事を引き起こしてきました。キャンプ座間では、有機塩素化合物DDTの埋め土処分疑惑、油の流出事故などがありました。相模総合補給廠では、カドミウムの流出事故、アスベストの無断搬入、PCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物の大量保管や無断搬出といった事例を挙げることができます。
相模原市長が副会長を務める神奈川県基地関係県市連絡協議会では、昨年、今年と2度にわたり、日本政府に対し有機フッ素化合物を含有する泡消火剤の各米軍基地での保有量、保有実態を明らかにするよう求めています。未だに、日本政府からの回答はないと聞いています。そして、一昨日の10月3日、同協議会は外務大臣、防衛大臣宛てに「県内米軍基地からの相次ぐPFOS等の流出に関する緊急要請」を行いました。
私たちが申すまでもなく、厚木基地と横須賀基地で相次いで発生したのと同様の事故が相模原市内の米軍基地で起こらないとは限りません。前出の「緊急要請」を受け、当該市として市内の3つの米軍基地に絞り、以下の事項を米軍当局および日本の防衛当局に事実照会して下さい。そのうえで、照会結果をお知らせ下さい。
記
1.キャンプ座間、相模原住宅地区、相模総合補給廠に有機フッ素化合物を含有する泡消火剤は保管されているか否か。
2.保管されているとすれば、どれくらいの量が、どのように保管されているか。
3.保管されていないとすれば、過去に保管、保有していたことはあるか。
4.過去に保管、保有していた同化合物はどのように処理、処分されたか。
5.各米軍基地で無害な泡消火剤への更新が進んでいると聞くが、市内の3つの米軍基地の場合、その進み具合はどうなっているか。
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