発行日:2022年7月15日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.96

電子版


 
  [報告]
2022.6.4

PFAS汚染水問題で学習会を開催

  有機フッ素化合物(PFAS)による環境汚染が各地で問題となっています。特に、消防、空港、航空基地からの泡消火剤を含む排水は、河川や地下水を経由して住民の飲料水を汚染するため、沖縄をはじめとする在日米軍基地の周辺で問題が多発しています。
 神奈川県内でも、米海軍厚木基地、横須賀基地などでPFASが検出されており、座間市では、汚染源は不明ですが、市営水道の水源として用いる地下水からPFASが検出され、取水を制限する事態となっています。
 歓迎しない会でも、このような身近でのPFAS汚染の顕在化を踏まえ、PFAS汚染についての学習会を、6月4日に座間市立市民交流プラザ “プラっとざま”にて開催しました。

有機フッ素化合物(PFAS)とは
 「PFASとは、炭素とフッ素の化合物の総称で、約5000種類存在する。代表的なのは、炭素数が8のペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の二つで、C8とも呼ばれる。
 この物質群は、自然界で分解するのに数千年を要することから、“永遠の化学物質”とも呼ばれている。また、撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の物性を示すことから、撥水撥油剤、界面活性剤、水成膜泡消火剤、殺虫剤、調理用器具のコーティング剤など、幅広い用途で使用されてきた。
 こうした利便性の一方で、近年、PFASは腎がん、精巣がん、甲状腺や肝機能障害、男女の生殖能力の低下などの強い化学毒性を有することが明らかになっている。」(学習会での配布資料より抜粋)

 このようなPFASについて、米国やヨーロッパでは、リスク認識が拡がっており、規制も強化されています。日本では、PFOSとPFOAが2010年に製造・使用が原則禁止されていますが、そのリスクや汚染の実態などは、ほとんど知られていないのが現状です。

映画「ダーク・ウォーターズ」
 米欧でPFASのリスク認識を広める一助となった映画が「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」(2019年)です。デュポン社によるPFOA汚染の隠ぺい工作を白日の下にさらした弁護士ロバート・ピロットの闘いを描いています。日本語字幕版はこれまで、映画館での上映だけでしたが、最近になってストリーミング配信の購入ができるようになり、いつでもどこでも見られるようになりました。
 学習会では、この映画の内容や評価について意見交換しました。


映画「ダーク・ウォーターズ」より




座間市営水道水源の有機フッ素化合物汚染を伝える記事
(神奈川新聞 2022年4月1日付)


 
[関連記事紹介]

米国が有機フッ素化合物の基準を厳格化 飲料水で従来の3千倍厳しく
新基準では沖縄の汚染水は大幅超え (沖縄タイムス 2022年6月17日より)

 米環境保護局(EPA)が15日、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)の飲料水の生涯健康勧告値を大幅に引き下げたことが分かった。これまでPFASの一種のPFOA(ピーホア)とPFOS(ピーホス)の合計値で1リットル当たり70ナノグラムだったが、PFOAは0・004ナノグラム、PFOSは0・02ナノグラムとし、合算で約3千倍の厳しさとなる。(社会部・平良孝陽)
 日本政府はEPAの従来の勧告値を参考に暫定指針値・目標値(50ナノグラム)を定めている。県内の水質汚染は新しい勧告値を大幅に上回っており、影響が及ぶ可能性がある。
 勧告値は生涯飲み続けても健康影響がないと考えられる水準を示し、法的拘束力はない。EPAは「暫定的なもので、国の正式な基準が施行されるまでの間、州や水道当局に情報提供する目的」と説明する。別の種類のPFASであるGenXやPFBSの勧告値も新たに設定した。
 勧告値の見直しを受け、日本国内の暫定基準を定める環境省は「注視が必要で今後も情報収集して検討したい」、厚生労働省は「国際的に幅のある設定値で、情報を精査して対応を検討したい」と述べた。




 
[関連記事紹介]

米軍横須賀基地の排水から有害物質検出 海に流出の可能性
 (神奈川新聞 2022年7月1日より)

 横須賀市は1日、米海軍横須賀基地の排水処理場の排水から、環境省の暫定目標値を上回る有害な有機フッ素化合物「PFOS」「PFOA」が検出されたと、国から情報提供を受けたと発表した。排水は横須賀港に流れ出た可能性が高く、現時点で健康被害は確認されていない。米側は「原因は不明で調査中」としており、市は原因究明と周辺環境への影響の確認、再発防止を求めている。
 市によると、5月上旬、基地東側にある排水処理場内で泡が確認されたことから、米軍が排水を検査。環境省が定める1リットル当たりの暫定目標値50ナノグラム(合計値)を上回る量が検出され、米側が6月29日に日本政府に通報した。検出された数値は公表していない。防衛省南関東防衛局は30日に周辺海域の海水を採取しており、今後分析する。

厚木基地にオスプレイ6機、繰り返し訓練飛行

 6月9日(木) 4機の海兵隊MV22オスプレイが厚木基地に飛来した。厚木基地にはオスプレイは配備されていないが、かまわずやってくる。大変な迷惑だ。米軍は2020年10月以降、オスプレイの飛来に対して事前通告はしないといっており、今回も無通告であった。
 厚木基地にはオスプレイがいつの間にか2機増え、6機来ていた。海兵隊のオスプレイということはわかっているが、居座っている理由もわからないし、CH53E大型ヘリや、AH-1Zバイパー、UH-1Yベノムなどの戦闘ヘリもいる。これらの航空機が厚木基地周辺を旋回しながら飛行を繰り返している。訓練飛行そのものである。これまでならどこかで米軍による共同訓練などの発表があり、そのために厚木基地を中継基地として使用するなどの理由付けがあった。もちろんそれも近隣住民にとっては騒音の元であり、部品落下などの危険もあり、決して認められるものではない。しかし、今回のオスプレイや攻撃ヘリの駐留及び基地周辺での訓練飛行についてはいまだに何の説明もない。まさに傍若無人の暴挙である。



厚木基地に常駐状態の海兵隊オスプレイの訓練 (6月13日)


厚木基地に飛来して訓練する海兵隊AH-1Zバイパー

 6月14日(火)に厚木基地爆音防止期成同盟と第五次厚木基地爆音訴訟原告団、県央共闘会議、神奈川平和運動センターの四者で、6月10日(土)から本格的に始まったMV22オスプレイやCH53ヘリなどの、傍若無人な厚木基地周辺住宅地上空での訓練飛行に対し、座間防衛事務所へ抗議と、訓練飛行の中止を求めて申し入れを行った。
 座間防衛事務所の所長の対応は、はじめは「飛行場なので、飛行機は飛びます。米軍の運用のことはわからない。何とも言えない」というような対応だったが、「この事務所の存在意義は、基地及び周辺住民の状況と要望を把握して、上に伝え、改善することにあるのではないか」との指摘、「CH53などの米海兵隊の攻撃用ヘリの編隊飛行、複数のオスプレイの旋回飛行が住民に与える騒音と不安を取り除くよう動いて頂きたい」との強い要求を受けて、上部へは報告したが、文書回答は断られた。
 6月25日のマスコミ報道によると、厚木基地で6月9日からオスプレイなどが飛来し、訓練を続けているのは、海兵隊と陸自が東富士で「シンカ22.1」という訓練を行っており、そのために厚木基地を利用しているからだという。実際にMV22オスプレイ6機とCH53E3機が厚木基地で駐機している写真が掲載されていた。米国防総省映像情報配信サービスによるものだ。米海軍はそのうえ厚木基地を海兵隊の訓練基地にする予定で、訓練の関連会社を2023年に募集するという、信じられないような出来事が進行している。
 最近オスプレイが多く飛来し、駐機を続けている理由を、防衛省を通じて問い合わせていたが、米軍のやることはわからないという返事しか返ってこなかった。しかしこのことを米軍は公表していたのである。



[第五次厚木基地爆音訴訟]

軍用機騒音の「不快感」は、道路・鉄道、民間機よりも大幅に高い

  厚木基地爆音訴訟では、艦載機岩国移駐後の騒音レベルが争点となっています。国(被告)側は騒音レベル、騒音回数が減少しており、損害はなくなったと主張しているからです。
 しかし、原告側からは、軍用機の騒音の評価についてこれまで低く抑えられていたとして、新たな評価方法が提言されました。
 新たな評価方法は、騒音評価の専門家である田村明弘横浜国大名誉教授が、公判での証言で示しました。
 田村先生の評価方法は、道路、鉄道、民間機、軍用機などについて、30%以上の人が「不快」(うるさい)と感じる騒音レベルを比較したところ、軍用機は道路、鉄道、民間機より低い騒音レベルでもうるさく感じるということです。数値的には道路より15dBも低い騒音レベルです。
 厚木基地に適用すると、艦載機移駐後の騒音でも、30%以上の人が「不快」と感じるエリアはこれまでの賠償対象エリアとほぼ同じとのことです。