発行日:2022年1月1日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.93

電子版


 
2022年頭のごあいさつ

 昨年は歓迎しない会の活動にご協力いただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。
 コロナ禍が3年目に入ります。最近ではオミクロン株の市中感染が全国至る所で起こっており、戦々恐々とした毎日が続いています。国は外国人の新規入国を停止し水際対策を強める中、海外から在日米軍基地に直接入った部隊の多くで出国前・到着時のPCR検査をしていなかったことが明らかになりました。折しもキャンプ座間では日米共同方面隊指揮所演習が行われていたところでもあり、市民や基地内で働く人々の不安は拭えません。

 キャンプ座間を取り巻く問題は続いています。ヘリコプターの騒音や低空飛行の問題は軽減されることなく、周辺住民からの苦情は絶えません。キャンプ座間所属のヘリが東京都心でも低空飛行を繰り返していたことも明らかになりました。沖縄で環境汚染が問題になった有機フッ素化合物は、座間キャンプ周辺の河川や地下水からも検出されていますが、キャンプ座間内にどれほどの量があるかは明らかにされていません。座間市の地下を通ってキャンプ座間に送水される水道については、水路の実態調査を始めることがようやく決まりました。ゴルフボールの飛び出しも変わらず続いています。

 新しい年を迎え、キャンプ座間の基地強化を許さないこと、市民の安全安心な暮らしを脅かさないことを一層声をあげていく必要があります。歓迎しない会では、皆さまと課題を共有するためのフィールドワークなどを本年も行っていく予定です。ぜひ積極的なご参加をお待ちしています。課題解決に向け、ともに頑張りましょう。

共同代表 金子豊貴男、長瀬未紗


[報告]

2021.12.4

歓迎しない会 第18回総会 & 特別報告

 「歓迎しない会」の第18回総会を12月4日、座間市の市民交流プラザ「プラっとざま」の多目的ラウンジにて開催しました。内容は、総会議事と米軍ヘリの低空飛行に関する特別報告、最後に懇親会を行いました。
 最初の総会議事は、21年度の経過報告、活動報告、会計報告、そして22年度の活動方針を事務局より提起し、承認を頂きました。
 21年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染拡大が継続し、活動が制約される中でも、基地周辺での米軍ヘリ飛行の問題、キャンプ座間ゴルフ場からのゴルフボール飛び出しの問題に継続して取り組むとともに、フィールドワークによるキャンプ座間及び基地関連の監視も続けることができました。

 2月に毎日新聞が東京都心での米軍ヘリ低空飛行の常態化を、映像や実測データを交えて、特集記事として報道したことで、キャンプ座間、厚木基地の米軍ヘリが基地周辺だけでなく、東京都心でも危険な低空飛行を繰り返していることが広く知られることになりました。米軍ヘリの低空飛行は横浜市中心部上空でも確認されており、基地周辺だけでなく広範囲に危険性が及んでいることをあらためて認識するとともに、さらにこの問題を広く訴えていく必要性を感じました。

 最近では軍用機を含む航空機の航跡をリアルタイムで見ることのできるウェブサイトがあり、かなり詳細に飛行航路、高度、速度などを把握することが可能になっています。データを収集することで、低空飛行の実態を具体的に示すことができるものと期待しています。これについては、総会後半の特別報告で紹介しました。

 キャンプ座間の米軍、及び自衛隊の部隊構成については大きな変化はありませんが、米国を主体に日・豪・ヨーロッパなどが加わる中国に対する包囲網の展開が進む中、陸海空軍での日米共同訓練や多国間訓練が頻繁に行われるようになってきています。このような状況は、キャンプ座間の米軍や自衛隊の動きにも影響が出ているものと考えられます。12月の「日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ81)」では、キャンプ座間でも日米豪の部隊による演習が行われました。



日米共同方面隊指揮所演習を伝える記事
朝日新聞 神奈川版 2021/12/03 より

 日本の防衛予算は年々増大してきましたが、岸田政権はさらに増額しようとしています。22年度予算案で5.4兆円という過去最大の防衛費が示されましたが、21年度補正予算には、7700億円もの防衛費が含まれています。この補正の防衛費と22年度の防衛費を合わせるとGDP比で1.09%にもなります。この状況を放置すれば、自民党が主張するGDP比2%へ向けてさらに増え続けることになりかねません。
 22年度から5年間の在日米軍駐留費経費負担(思いやり予算)について、年平均で2110億円に増額することを日米両政府が合意しました。20年度までの負担額に比べ年150億円増、しかも日本政府は、「思いやり予算」改め「(日米)同盟強靭化予算」と名付けました。居直りともとれる「共同訓練費」計上で負担増を国民に強いて、日米共同軍事訓練、多国間軍事訓練を増強するための予算でもあります。

 私たちは、引き続き基地負担の軽減、基地の閉鎖・返還を求めて全国の仲間と声を挙げていくことを確認し、総会議事を終えました。 (MN)

 事務局体制について
  来年度の事務局については全員留任とし、総会で了解をいただきました。
  引き続きよろしくお願いします。
   共同代表   金子豊貴男、長瀬未紗
   事務局長   松本憲明
   事務局次長  安海のぞみ、山村充夫、松本貴裕
   会計     岩本香苗
   会計監査   加藤陽子



総会特別報告

キャンプ座間米軍ヘリによる低空飛行の実態

  総会の後半は、金子共同代表による表題の特別報告を行いました。キャンプ座間の在日米陸軍航空大隊(ヘリ部隊)の概要と、厚木基地や横田基地の米軍ヘリも含めた、相模原市内など市街地での訓練飛行の実態が、映像、データを含めて紹介されました。また、航空機の飛行経路を把握することのできるウェブサイトについて、具体的な話を聞くことができました。
最初は、キャンプ座間のヘリポート、キャスナー飛行場についての解説で、写真を見ながら基地内のヘリポート位置、施設の概要が紹介されました。


 続いてキャンプ座間配備の米陸軍ヘリについて部隊名や機体について解説がありました。
  ・部隊名: 在日米陸軍航空大隊 (U.S. Army Aviation Battalion Japan)
  ・配備ヘリ: UH-60Lブラックホーク 5機
  ・スペック: 主回転翼直径16.36m、全高3.76m、自重5120kg、最大離陸重量9190 kg、
         最大速度296km/h

 次に、これら米軍ヘリによる基地周辺、相模原市内での訓練飛行、また東京都心での低空飛行などを、具体的に写真を見ながらの解説があり、その実態が紹介されました。

 最後に、このような米軍機の飛行実態を調査するうえで欠かせないツールとして、飛行経路の把握ができるウェブサイト及びその仕組み(ADS-B)が紹介されました。
  https://globe.adsbexchange.com/
 このウェブサイトは、航空機が送出するADS-B信号を世界中で受信し、その情報を集約してウェブ上でリアルタイムに表示します。このサイトは民間機だけでなく軍用機についても表示するため、基地の監視活動でも活用することができます。すべての航空機がADS-B信号を常時送出しているわけではないのですが、米軍機や自衛隊機も含む飛行経路を誰でもどこにいても見ることができる便利なツールです。

ADS-Bとは
(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)
航空機が絶えず、現在の位置と高度を放送するシステム。航空機のカテゴリ情報、対気速度、識別、航空機の旋回、上昇、降下などを知らせる機能があります。



[新聞報道より

神奈川の米軍基地でも高濃度PFAS検出

 沖縄タイムスの報道によりますと、2018年の米海軍の調査で、厚木基地など神奈川の米軍3基地でも高濃度のPFASが検出されていたことが分かったとのこと。また、厚木基地では2009年から16年までに、泡消火剤が絡む大規模事故が少なくとも5件発生し、その一部にPFOSなどが含まれていた可能性があるとのことです。
 環境省の調査結果で綾瀬市の地下水から高濃度のPFOS値が検出され、神奈川県の調査でも座間市緑ヶ丘で暫定目標値を超えるPFOS+PFOAが検出されています。
 沖縄では、昨年も米軍基地に関係するPFAS汚染の事故、事件が頻繁に発生しています。8月には米軍が、普天間飛行場から大量のPFOS汚染水を下水に放出しました。日本政府、沖縄県との協議中にもかかわらず、米軍が一方的に放出したのです。
 米軍基地のPFAS汚染は、米軍の隠ぺい体質もあり、実態の把握すら十分にできません。神奈川でも米軍基地周辺のPFAS汚染が懸念されます。基地内への立ち入りを含む厳密な調査と対策を求めます。

 
沖縄タイムス 2021年12月7日

キャンプ・ハンセン(沖縄)で新型コロナのクラスター発生

 12月11日に米軍用機で嘉手納飛行場に到着し、キャンプ・ハンセンで待機中だった米海兵隊部隊で新型コロナ感染が判明。12月23日現在で227人のクラスターとなり、さらに他の基地や日本人基地従業員へ感染が拡大しています。
 さらに分かった問題点は、日本政府が水際対策を行っているにもかかわらず、米軍部隊は米国出国時も日本への入国直後も検査を実施していなかったということです。米側は日本と同じ措置を行っているとしながら、実際には何も行っていないことが明らかになりました。
 米軍基地経由の入国は、日本側の検疫がなく、感染防止は困難です。厳格な監視、あるいは移動禁止が必要ではないでしょうか。