発行日:2021年11月12日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.92

電子版


 
キャンプ座間の水道水として座間の地下水を取水?
フィールドワークで明らかになったこと

 座間市と相模原市にまたがって存在するキャンプ座間における水道施設については、県営水道が導入されて久しい。しかし座間基地の前身である旧陸軍士官学校時代に引かれているとされ、戦後は米軍管理下に置かれた水道施設が座間市内に数カ所存在しており、その運用の実態が長らく明らかにされず今に至っている。
 基地内の上水道が全面的に県営水道で賄われているのであれば、使われていない座間市内の水道施設は早急に返還されるべきであるし、何らかの使用をしているなら相応の使用料金を納めよ、と言うのは当然の市民感覚である。今回のフィールドワークではその実態に迫るべく米軍水道施設を中心に見てまわることとなった。
 市内4ヶ所の施設をフェンス越しではあるもののじっくりウォッチングして観ると、水源からの取水施設、座間の地下水と県水をブレンドしているとおぼしき施設、そして座間市内で一番の高台にある配水施設というルートが見て取れ、現在も座間の水を使っている事は明らかであるのを実感した。
 座間市議会としても毎年行っている防衛省への要請行動の際に、「キャンプ座間は既に県営水道を導入していることから (中略) 当市に所在する米軍水道施設用地を早期に全面返還すること」、ならびに「キャンプ座間における座間市営水道の導入に関し (中略) 負担軽減の観点からも座間市域分においては市営水道の導入に関して最善の努力をすること」との要望をし続けてきた。
 しかし南関東防衛局は、「米軍管理の水道施設の移管及び座間市営水道の導入については、2017年の覚書に (中略) 積極的に米軍及び関係省庁と協議し最善の努力をすると定められており、条文に従って適切に対応してまいりたい」との回答をくり返すばかりで、一向に進展しない。
 日常の風景の中にすっかり溶け込んでしまっているかの基地の外に存在し続ける米軍水道施設だが、今回のフィールドワークから得られた施設利用の実態を基に今後の基地対策運動へと繋げていきたい。  (安海のぞみ)


[報告]

キャンプ座間フィールドワーク 2021年秋

 毎年春と秋に行っているキャンプ座間のフィールドワーク。今回は、キャンプ座間周辺の戦争遺跡と座間市内に4か所ある米軍水道施設の現況調査を半日かけて行った。

 10月10日小雨の降る中、9名が相武台前駅に集合し、車3台に分かれて、まずは芹沢公園へ。ここには、太平洋戦争の末期に日本軍が堀った地下壕がある。現在の座間市東原と大和市・海老名市にまたがる地域には、本土防衛を遂行するための戦闘機「雷電」を製造する目的で高座海軍工廠(海軍に直属する工場)が建設された。栗原の中丸地区(現在の芹沢公園)には地下工場として地下壕が作られ、東西と南北にアミダ状に地下道がはりめぐされており、総延長は1500メートルにもなる。その一部は2018年に整備され、日中はライトアップされており、鉄柵越しに中の様子と雷電の模型を見ることができる。
 太平洋戦争中、労働力不足を補うため、ここでは約1万人の台湾少年工が従事していた。芹沢公園の丘には、現在も親交のある元台湾少年工の来日75年の記念碑が置かれている。



公園内の案内板

 
地下壕の入口(整備されており中はライトアップされている)


地下壕内に展示されている「雷電」(モックアップ)
 

 後半は座間市内の米軍水道施設を巡った。戦前、陸軍士官学校の建設に合わせて建設された水道施設を、戦後は米軍が使用しており、座間市内に4か所ある。
 まずは芹沢公園からほど近い、市立栗原中学校東側にある施設へ。市道の崖下に続く階段があり、米軍フェンスの向こう側の谷底に施設が見える。地下水を汲み上げる井戸と思われる。
 学校側の市道には米軍の蓋つきマンホールがあり、市道の下にある送水管を使用している様子がわかる。


 
道路側から階段を下ったフェンス内に米軍施設


道路上にはUSAと標示された制水弁が確認できた




制水弁

 次に、同じく栗原地区にある目久尻川沿いの水道施設へ。目久尻川を挟み東西に2つの水道施設があり、西側には施設職員が24時間365日常駐し、監視等している。ここから、谷戸山公園上にある米軍施設へ水がポンプアップされる。 

 

米軍施設(貯水施設、事務所など)
 

川を挟んで向こう側の施設から導水管が

 最後は座間市内で一番標高が高いと言われる、谷戸山公園の米軍配水施設へ。こんもりとした芝の丘になっており、ここからキャンプ座間まで自然流下で送水しているという。水道施設入り口には、陸軍士官学校の時代を思わせる古い石の門柱が残っていた。
 フィールドワークの締めとして、市役所横の食堂でその名も「雷電カレー」を食べ、振り返りを行い終了。
 次回、春にまた企画します。  (長瀬未紗)



米軍配水施設(1)


米軍配水施設(2)


谷戸山公園の案内板