発行日:2019年5月10日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.77

電子版


[報告]

2019.5.2

キャンプ座間フィールドワーク
2019春を実施

 5月2日(木)に恒例のキャンプ座間フィールドワークを行いました。相武台前駅に9時30分に集合し、10人のメンバーで市道新戸・相武台線からキャンプ座間を目指して歩き始めました。今回は初めて参加の方が4名もおり、新鮮な感じがしました。
 天候は雨雲が近づいてくるという予報の中、雷が鳴ったら中止という、あるメンバーの提言を受け入れて実行しました。

 キャンプ座間の下を横切る新戸・相武台線は、地下トンネルと掘り下げられた道路で構成されています。トンネル部分の拡幅工事はほぼ出来上がっていますが、掘割部の拡幅が完成していないため車の通行ができず、人と自転車のみの通行が許可されています。拡幅工事前は交通信号が設置されており、車の交互通行が可能でした。
 集合地点の相武台前駅から少し歩いた先がこの横断道路のスタート地点。写真で見られる通り「車両全面通行止」の看板。これが2011年の工事開始から続いています。一番左の看板には「平成32年3月まで(予定)」とのお知らせも。前回見た時には「平成31年」だったはずが、手書きで1年延長されていました。
 この基地内道路は、陸上自衛隊の中央即応集団司令部のキャンプ座間への移駐に伴う自衛隊庁舎の新築に合わせて拡幅することになりました。当初6年の工期で2017年には完成予定でしたが、いまだに完工していません。毎年春秋のフィールドワークで観察しているのですが、トンネル部分は2017年には完工しており、橋の付け替え工事も2018年には終わっています。それが、いまだに車両通行止め、しかも来年まで再延長とは。



横断道路のスタート地点


手書きで1年延長されていた看板

 道路内を歩きだすとすぐに解るのですが、どう見ても1車線分しかない道路が先へ続いています。ここは全くの手付かず状態です。
 さらに進んでいきますと、新造されたコンクリート橋が見えてきます。この橋の前後は道幅も広がっています。しかしその先へ進むと又狭い道幅に戻ります。
 この状況が橋の所で繰り返され、トンネルの入り口に至ります。トンネル内は完全に出来上がっているのですが、全く車が通らず、たまに自転車が通るくらいでした。
 結局、見て分かったことは、現在、工事としてはほとんど行われておらず、できる部分の工事は終わっているということです。トンネルと橋以外の掘割部分の工事が進んでいないため、車両通行止めが続いているようです。
 相模原市の説明では、掘割の基地外の部分で民間マンションが接している箇所があり、そこが立ち退かなければ工事が進められないとのことです。当初から分かっているにもかかわらず、見込みで工事を進めて、今になって延期しますとは、あまりにもずさんな計画ではと感じます。また、予算の無駄使いにもなります。



以前のままの狭い道路がしばらく続く
 

造り替えた橋の前後は広くなっているが・・・
 

その先はまた狭い道に

   新戸側は、トンネルを抜けるとすぐに基地外となりますが、今回目にしたのは、道路脇を登って基地のゲートにつながる通路です。工事前にも存在した通路ですが、工事中の覆いが外されたことによって、ここも新装されたことが分かりました。大型車両も余裕で通行できる通路です。

 その後、陸自の庁舎と隊舎を外から視察し、スクールバスの使われ方などの説明を金子共同代表から受けました。
 庁舎には以前は陸自の中央即応集団司令部(CRF)が入っていました。CRFが朝霞に戻った後、そこには日米共同部や米海兵隊連絡室など、米軍施設が入っていることは前号でもお知らせしましたが、日米一体化がさらに進んでいることを再認識しました。

 

トンネルの脇にゲートへつながる通路


キャンプ座間内に駐車するスクールバス
 

  キャンプ座間内には日米の国旗のほか国連軍旗が上がっているのを確認し、在韓米軍とのかかわりの説明を受けました。
 基地正門前では普段閉められているリトルペンタゴン側の門が珍しく開かれており、何かあったのかと話題になりました。陸自側の門では相変わらずの厳重な警備で、物々しさはありますが、警備しているのは日本の警察で、そのギャップには何とも言えない哀しさがあります。
 その後返還された座間市側基地跡地が、座間総合病院と消防施設になっているのを視察しました。座間市では一定の返還が成され、返還地の利用もできているのでこれ以上返還を求めなくともよいのではなどという声も聞こえているとか、要注意です。米軍基地はどこにもいらない。すべて地元に返還し、住民の生活環境の整備に使われるべきです。「100年たっても基地の町」からの脱却を目指しましょう。



最近の報道より

横田基地に新たな指揮所検討=対中念頭、在日米空軍に「統制権」
[時事通信 2019年4月21日]
 米空軍が横田基地に作戦計画の策定や実行を担う新たな指揮所「航空宇宙作戦センター(AOC)」の設置を検討していることが・・・分かった。紛争時に一定の条件下で在日米空軍(第5空軍)に「作戦統制権」が与えられた際、AOCが司令官の決断を補佐する構想。実現すれば在日米空軍の作戦遂行能力が強化されるとともに、より密接な自衛隊との連携も可能になる。
 太平洋空軍傘下にある在日米空軍は作戦統制権を持たず、ハワイの太平洋空軍司令部にある「第613航空宇宙作戦センター(613AOC)」に作戦計画の策定や実行を頼ってきた。だが、中国との軍事衝突が起きれば、サイバー・電磁攻撃で通信が遮断される恐れがある。・・・軍事衝突を見据えて統制権の分散や部隊運用の柔軟性強化を進めており、横田基地へのAOC設置もその一環とみられる。
 ・・・情報収集や攻撃目標の選定などで司令官の決断を支援する小規模なAOCを横田基地に設置し、非常時の部隊運用を可能にする統制権の付与が検討されていると語る。
 ・・・小規模な紛争の際にもハワイからの指示を待たず、独自に対応する権限が与えられる可能性がある。いずれの場合も横田基地のAOCは613AOCに従属する形となる。
 米軍は自軍や同盟国の陸海空の防衛資産を一体運用し、各種ミサイルや有人・無人航空機などの脅威に対抗する「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」構想を進めている。日本政府も昨年12月公表の新しい防衛計画の大綱で、IAMD体制確立を目指すと明記。米軍がAOC設置を検討する背景には日米間でIAMD能力を高める狙いもありそうだ。

 時事通信は同時にハワイの613AOCを見学した記事も配信し、その中で「フロアには、数百台の小型モニターが所狭しと並ぶ。空軍だけでなく、陸海両軍などからも要員が派遣され、24時間365日体制で広大な管轄地域で起きる情勢を注視する」と紹介しています。
 この記事を目にしたときに気になったのが、昨年相模補給廠に設けられた第38防空砲兵旅団司令部のこと。車力と経ヶ岬に設置されているXバンドレーダと嘉手納のPAC3運用部隊の司令部とのことですが、なぜ今頃になって、「司令部」を日本に置くことになったのかよくわからない。しかし、この記事にあるように「分散配置」や「IAMD」構想と結びつければ、意味がなくもないのです。あくまでも推測ですが。


 

「お友達は日本だけ」? 米軍の地位協定、日本と欧州ではこんなに違う
[沖縄タイムス 2019年5月7日]
 日米地位協定の改定を主張する沖縄県・・は、2017年からドイツ、イタリア、イギリス、ベルギーの4カ国を調査した。日本は米国と安全保障条約、地位協定を結んでいるが、4カ国は北大西洋条約機構(NATO)とNATO軍地位協定を締結。各国とも補足協定などで米軍に国内法を適用して活動をコントロールしており、米軍の運用に国内法が適用されない日本との差が明確になった。

 
沖縄タイムスより