発行日:2019年1月1日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.75

電子版



2019 年頭のごあいさつ

 歓迎しない会会員の皆様、反基地運動に取り組んでいる皆様、あけましておめでとうございます。 昨年12月1日、第15回目の総会を開催、その後記念講演として、リムピース編集局の星野潔さんをお招きし、「横浜ノースドックの最近の動きについて」と題して貴重な報告をいただきました。
 昨年は県央地域の基地が大きく変容しました。3月末に陸上自衛隊の中央即応集団(CRF)が廃止され300人が転出、陸上総隊が発足し、キャンプ座間には付隊合わせて40人の陸上総隊司令部日米共同部が配置され、同時に御殿場駒門駐屯地から第364施設中隊100人余の移駐がありました。厚木基地では米空母艦載機が岩国基地へ移駐を完了、一方で、相模総合補給廠ではミサイル防衛部隊の司令部が10月16日から移駐し、基地の強化となりました。ミサイル防衛司令部隊の移駐に対し他団体との抗議行動を行いましたが、今後の抗議行動等の際には参加を広く呼びかけていきたいと考えています。
 こうした動きに対して、春秋の基地フィールドワークでは新設された駐車場を発見するなど、変化を目の当たりにする場面もありました。今年もフィールドワークへの参加をお待ちしています。
 また、記念講演では、星野さんたちの 調査により、横浜ノースドックに米陸軍(キャンプ座間の飛行場は米陸軍ヘリ)、海軍空軍ヘリが飛来し、タッチアンドゴー訓練や周回飛行訓練などを行なっているとの情報提供がありました。ノースドックには飛行場もヘリポートもないので、日本のヘリは離着陸をすることは航空法上許されていません!横浜ノースドックは日米合同軍事演習としても使われるようになり日米軍事一体化の舞台となっているとのことでした。
 キャンプ座間のヘリ問題も地道に調査をしながら働きかけていく必要があります。ご協力お願いします。

共同代表 金子豊貴男 加藤陽子


[報告]

第15回総会 & 記念講演

2018.12.1

 12月1日、“歓迎しない会”の第15回総会と記念講演を、相模大野のユニコムプラザさがみはらにて開催しました。総会の議事として、1年間の活動の振り返りと今後の方針について報告と質疑を行い、記念講演へと移行。
2018年のキャンプ座間は大きな変化がありました。まず、3月末に陸上総隊が創設されると同時に中央即応集団が解体されました。陸上総隊司令部が朝霞に置かれ、キャンプ座間の中央即応集団司令部は廃止、替わりに陸上総隊司令部の日米共同部が置かれました。司令部要員は数十名に減員、“補充”として駒門駐屯地(御殿場)から、第364施設中隊を移駐させました。
最近の報道でわかったことですが、中央即応集団司令部が置かれていた自衛隊庁舎には、日米共同部と米第1軍団前方司令部が“入居”し、同一フロアで執務しています。自衛隊と米軍との一体化が進んでいることに驚かされます。
10月に突然行われた、相模総合補給廠への米陸軍第38防空砲兵旅団司令部の駐留は、キャンプ座間にも深くかかわり、容認できるものではありません。
米軍の“説明”によると、キャンプ座間が手狭なため相模補給廠に置いたとのことですが、実は、昨年、補給廠の管理部隊である第35戦闘維持支援大隊がキャンプ座間に移動しているのです。そのため、補給廠の管理部隊がキャンプ座間に、防空ミサイル司令部隊が相模補給廠に置かれるという、ちぐはぐなことになっています。
新司令部発足に際して、相模補給廠監視団をはじめ、県央共闘などとともに抗議行動を行いましたが、歓迎しない会でも、引き続き監視と抗議を継続していくことを確認しました。
また、従来からの取組でもあります、キャンプ座間のヘリ騒音に対する情宣・抗議についても継続していくことが確認されています。

 


 <記念講演>
 歓迎しない会のニュースNo.73に、「横浜ノースドックが米軍ヘリ訓練場にされている」を寄稿された星野潔さん(リムピース編集局)をお招きし、横浜ノースドックの最近の動きについて講演していただきました。
 まず、横浜市内にある米軍基地や施設などについて説明があり、その中でも横浜ノースドックは、近年、ますますその重要度を増しているとのことでした。
 横浜ノースドックは、米軍の兵站機能にとって重要な施設であり、輸送の拠点であることは間違いないのですが、それとともに、特殊任務の活動拠点として使用されることも多くあるそうです。
 昨年4月に、CV22オスプレイ5機が陸揚げされ、すぐにその場で組み立てられ、横田基地まで飛行したことも、まだ記憶に新しいところです。
 星野さんは、現場での監視活動を続けられており、横浜ノースドックが米軍ヘリの訓練場として使用されていることにも、強い危惧を抱いています。今後も横浜ノースドックとその周辺での米軍の動きを監視し、警告を発していくとのことでした。


[報告]

相模総合補給廠への
新司令部の駐留に抗議する相模原集会

2018.12.14

 米陸軍第38防空砲兵旅団司令部が、突然、相模総合補給廠に駐留を開始して約2か月が経過しました。この在日米陸軍の新司令部が相模総合補給廠に駐留する目的・理由については、いまだに、わからない点が多いのですが、基地機能の強化であること、基地の縮小・返還に反していることははっきりしています。
 私たちは、10月16日の駐留開始の日に、補給廠ゲート前で抗議・申し入れを行い、今後の新司令部の動向にも注意を払っています。12月14日には、抗議行動と同じ共催団体で、「相模総合補給廠への新司令部の駐留に抗議する相模原集会」を、ソレイユさがみ(相模原市緑区橋本)で開催しました。集会には170名の参加があり、関心の高さを示しました。また、相模原市長からのメッセージも寄せられました。
 集会は、東京新聞の半田滋さんから「相模総合補給廠の問題」と題しての講演があり、若干の質疑の後、集会参加者一同による「集会宣言」を採択しました。
半田さんによる講演の要旨及び集会宣言を以下に紹介します。


集会宣言を読み上げて採択

  <講演「相模総合補給廠の問題」要旨>
 2015年に倉庫の火災があったが、保管物の詳細が確認できず、消火活動ができなかった。1年2か月後の報告でも原因は不明のまま。つまり、消火設備も管理する人材も不足しており、事実上遊休化した基地だった。
 2006年の日米軍事再編のロードマップ合意では、相模総合補給廠は一部返還となり、実際に返還が始まった。
 しかし、昨年と今年に起きたことは変だ。まず第1軍団前方司令部が、陸自中央即応集団司令部(廃止)の庁舎に移転。キャンプ座間に補給廠から第35戦闘維持支援大隊が移駐、補給廠には第38防空砲兵旅団司令部が駐留開始。つまり、補給廠を管理する部隊とミサイル防衛司令部(実戦部隊)の配置が逆になっている。
 在日米陸軍の説明もおかしい。「38旅団は米軍と自衛隊の即応力向上・・・」と言っているが、自衛隊のPAC3は航空自衛隊が運用しており、米陸軍との連携はない。
 結局、補給廠に実戦部隊の司令部を置くことで、遊休化した相模補給廠を返還しないための口実にしようとしているのではないか。
 日本政府は、米側に真相を質すことはない。これで日本は主権国家と言えるのか。


半田滋さんによる講演



集会宣言

 9月28日、相模原市と神奈川県に対し、第38防空砲兵旅団司令部が相模総合補給廠に駐留する旨が伝えられた。その防衛省からの通知は、週末の金曜日の夕刻、突然もたらされた。直後、相模原市の加山市長はこうコメントした。「このような情報が突然に、しかも決定事項として提供されたことは大変遺憾な事態です」と。
 その3週間前の9月5日には、米国側から防衛省に同旅団司令部が駐留を開始する旨が伝えられていた。本年4月初旬、米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイが横田基地に飛来した時もそうだった。地元自治体への通知は2日前だったが、その半月前には米国側からその旨が伝えられていたのだ。辺野古新基地建設を巡っても、未明に裏口から申請書類を持ち込むなどという愚行もあった。
 突然に、地元自治体が対応のとりにくい時間帯を狙ってというのが、防衛省の常套手段だ。行政機関同士の信義を欠く行為と言わざるを得ないやり口である。
           ◇◇◇
 「新たな装備品の搬入はない、既存施設を利用する、大規模な訓練は行わない、だから基地強化には当たらない」。米軍と防衛省は、こう繰り返し主張するが、本当にそうか。
 相模総合補給廠は、戦地・戦場で使う物品、資材を保管する補給兵站基地である。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争と、米陸軍が行った地上戦に多くの物品、資材を送り出してきた。そして、今も戦地・戦場への備えを続けている。
 防空砲兵旅団司令部の駐留は、相模補給廠に新たな役割を加えるものである。だから、基地の機能強化である。これにより、80年にわたる広大な敷地の占有がさらに続くことになる。だから、基地の存続、恒久化を図るものでもある。
           ◇◇◇
 第38防空砲兵旅団司令部の駐留開始に当たって、米軍、防衛省とも「防空能力を高めるため」、「二国間の連携を高め日米同盟を強化するため」としている。そして、青森県と京都府にあるXバンドレーダー基地、沖縄・嘉手納基地の防空砲兵連隊を指揮、統制するという。
 今、「日米同盟の強化」を大義名分にして、各地で基地の強化、際限のない軍備の増大が図られている。辺野古新基地建設の強行、横須賀母港の第7艦隊艦船の増強、岩国基地の要塞化等々。F35戦闘機、オスプレイ、E2D早期警戒機、無人攻撃機、ミサイル防衛システム=イージスアショア等々の自衛隊装備の購入―要する費用は2兆7000億円にも上る。加えて、新防衛計画大綱では、ヘリ空母「いずも」を改造、F35B戦闘機の搭載まで計画されるに至っている。
 基地の強化、軍備の増大は、日本と東アジアの平和、緊張緩和と相容れない。相模総合補給廠への第38防空砲兵旅団司令部の駐留も然りだ。今日の集会を足がかりに、改めて「基地のない神奈川」をめざして、闘っていこう。

2018年12月14日
相模総合補給廠への新司令部の駐留に抗議する相模原集会 参加者一同