発行日:2016年1月5日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.57

電子版


2016 年頭のごあいさつ
  昨年、最も大きな出来事は、集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が成立したことです。戦後の歴史的大転換といえます。
 安保関連法成立による日米一体化強化の不安が高まるキャンプ座間においては、座間市側では2棟からなる250戸の自衛隊宿舎がほぼ完成し、誘致病院が4月開院にむけ建設が進みました。相模原市では、8月に相模総合補給廠での爆発・火災事故、12月に補給廠西側10haの共同使用が具体化しました。
 また、オスプレイは厚木基地に8月から9月と断続的に飛来し、タッチ&ゴー訓練も見られました。
 この間、私たち「歓迎しない会」では、キャンプ座間でのヘリの飛行訓練監視活動、いまだに改修がされない崖崩れ現場ウォッチング、相模総合補給廠の爆発火災事故への抗議・申し入れ、返還地の変容を見ながらの春・秋の基地フィールドワーク、大和のピースフェスティバルへの参加などの活動を継続するなかで、会員や他団体の方とともに、意見を交わし、活動の意義を確認してきました。
 
 2016年は、ヘリ騒音に対しての取り組みを強め、行政への電話連絡を促すチラシ・カードの作成、基地フィールドワークの参加呼びかけ、映画上映会の開催、辺野古の状況把握や全国基地反対運動との連携から沖縄訪問等を計画しています。
 個々の活動のなかから、米軍基地や自衛隊のあり方を市民団体として提案していきたいと思います。また、安保関連法反対運動に共鳴した若い年代や様々な層の市民ともつながる情報発信も試みていく必要を感じています。

会員の皆様、是非参加してください。また、友人を歓迎しない会にお誘いください。

歓迎しない会事務局一同



[報告]

歓迎しない会 第12回総会と記念講演

2015.12.5

 歓迎しない会は、年度総会を毎年12月に開催しており、1年間の総括と次年度の基本方針を議論します。また毎年、記念講演を同時に行ってきました。昨年も12月5日(土)に開催しましたので、以下、第12回総会と記念講演の概略を報告します。
 第12回総会の会場は、小田急線相模大野駅前のボーノ相模大野3階の“ユニコムプラザさがみはら”で、例年通り前半を総会、後半を記念講演としました。約20人の方に参加いただき、活発な議論が交わされ、終了後には講演の講師を囲んでの懇親会も行いました。

総会の様子
 総会は、昨年1年間の活動報告と、今年の活動方針を主な議題としました。
 キャンプ座間では、2007年12月に、それまでの在日米陸軍司令部に加え、米陸軍第1軍団前方司令部の移駐が、大きなニュースとしてありました。しかし、その後の経過をみると、「前方司令部」の名称に示されるように、出先機関の印象でした。その後、2013年3月に陸上自衛隊中央即応集団(CRF)司令部が移駐してきたことによって、キャンプ座間での日米軍事一体化の動きが具体化したといってよいでしょう。歓迎しない会の活動は、当初から日米軍事再編反対を掲げて行ってきましたが、最近では、基地による環境破壊、危険性の指摘と抗議行動が主要な課題になってきています。
 活動報告及び方針論議では、キャンプ座間の一部返還予定地(座間市域)で行われている、自衛隊家族宿舎と座間総合病院の建設に関わる問題や、米軍ヘリの訓練飛行による騒音・危険の増大に対する取組などが取り上げられました。
 キャンプ座間には米陸軍管轄のヘリポートがあり、米陸軍ヘリが5機配備されています。しかし近年、厚木基地配備の米海軍ヘリ、及び横田基地配備の米空軍ヘリが飛来し、離着陸訓練を行っています。最近、これらキャンプ座間配備以外の米海軍ヘリ、米空軍ヘリの訓練に伴う騒音がひどくなっており、地域住民からの苦情も増えています。歓迎しない会でも、この問題に取り組んでいますが、米軍ヘリの飛来訓練が続いているため、基地周辺住民への情宣を含め、より強化しなければと考えています。
 また、昨年は、ヘリポート脇の崖崩れ問題にも取り組みました。危険性とともに防衛省・防衛局の対応の遅さ、不十分さを、マスコミへの働きかけも含め、訴えました。

 相模総合補給廠の火災・爆発事故については、同じ市内に位置する米軍基地での事故であり、事故後の米軍の対応のあいまいさも問題です。基地内の危険物について、消防が把握できるようにとの働きかけなど引き続き行います。
 総会の最後に、事務局メンバーの選任を行いました。会計監査の武尾さんが退任し、留任メンバーの役割分担を変更し、引き続き課題に取り組むことを確認し、総会議事を終えました。

沢田政司さんによる記念講演
  後半の記念講演は、相模補給廠監視団の沢田政司さんに、昨年8月の倉庫火災・爆発事故について、「相模総合補給廠の火災・爆発事故と日米地位協定」と題して講演していただきました。
 講演はまず、8月24日の火災・爆発事故発生当時の様子から、スライドを用いて紹介してもらいました。米軍からの要請で出動した相模原市消防の消防車が待機するも、朝になるまで消火活動ができなかったことなど、現場の写真などもあり、リアルに伝わってきました。
 何が燃えているか誰も把握できていない中で、むやみに放水ができないことは当然ですが、問題は倉庫に何が保管されているか、消防当局が把握できていない点にあるのは確かです。そればかりか、米軍ですら把握できていないという、とんでもない状況だということです。

 また、今回の事故直後、相模原市消防局が米軍の依頼で共同調査に加わり、現場に立ち入ったことは評価できるが、依頼は一回だけであった。その後は米国からの調査チームが来たことが伝えられ、12月4日に「報告書」が、防衛省・外務省を通じて相模原市に伝えられたというが、原因究明には程遠い内容であったそうです。
 沢田さんは最後に、一般の危険物倉庫などに掲げてある表示板の写真を見せ、米軍基地内であろうと、このような表示を義務付け、消防の立ち入りを認めるべきであると強調し、講演を終わりました。


 キャンプ座間返還予定地
一時使用中の埋設物処理費用は座間市が負担

 返還予定地(うち1.4ヘクタール)に建設中の座間総合病院敷地内に、コンクリートガラや基礎物や水槽など埋設物が出てきたため、市が1198万8千円を負担し処理するための補正予算が座間市の12月議会に提出されました。整地において図面にあるものは国が撤去したとのことですが、これは旧陸軍士官学校時代のもののため、図面にはなく、工事中に発覚したとのことです。
 担当課は南関東防衛局と数カ月にわたって協議しましたが「在日合衆国軍隊の用に供する国有財産の一時使用等を許可する場合の取り扱い基準について」、いわゆる提供国有財産一時使用許可書にそって決定されたとのことです。根拠はこの許可書の5の(2)“使用者が一時使用等の許可の期間中に投じた必要費、有益費等については、使用者は国に対してその補償を請求しないこと”によります。使用者は病院事業者であり、昨年7月15日の「病院開設及び運営に関する基本協定書」、10月3日の「病院開設及び運営に関する基本的事項に関する覚書」にあるように、市は病院に用地の貸付けを交わしています。しかし、市は、病院は埋設物を予見できなかったとのことから市が負担することにしたとのことでした。
 用地の賃料は2014年10月15日から10年間免除するとの支援措置の覚書を交わしており、さらには土地関係で、今回のように何か想定できない事態が発生した際は市の費用負担とならないか不安です。 

加藤陽子