発行日:2024年9月2日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.109

電子版


 
[報告]
2024/08/21
座間市議会 基地政策特別委員会
長瀬未紗

 8月21日、座間市議会において基地政策特別委員会が開催された。
 屋久島の沖合で発生した米空軍横田基地所属のCV-22オスプレイの墜落事故について、8月1日に米空軍事故調査委員会が公表した事故調査報告書について、本委員会の中で報告があった。
 渉外関係主要都道府県知事連絡協議会(略称:渉外知事会)や神奈川県基地関係県市連絡協議会(略称:県市協)、各市民団体等が事故原因の公表や丁寧な説明を繰り返し求めてきた結果、事故から8ヶ月以上経ちようやく公表された。

 これまでは「『特定の部品の不具合』が事故の原因であるということはわかっている」「オスプレイの設計と構造に問題はない」「訴訟や懲戒処分などに関わることも含まれているので、事故原因については報告書が公表されるまでは明らかにできない」との防衛省からの説明が繰り返され、市民への説明がないままにオスプレイが運行再開されていた。

 今回公表された報告書には、事故の状況や原因について書かれている。
 事故の原因としては
 ① PRGBという金属製ギアの不具合
 ② 操縦士の意思決定
の2つがあげられている。
 部品の不具合というが、なぜRPGBが故障したのか、根本となる原因は分かっていない。また操縦士は、警告が3回点灯し、「実施できる範囲で速やかに着陸する」の状況になったのにも関わらず、より近い場所ではなく屋久島空港に着陸しようとした。こうした操縦士の意思決定も原因とされたが、今となっては操縦士の真意は分からない。

 問題点は、米軍が公表した報告書には、安全対策についての言及がないことだ。防衛省は「日米間ではこれまで前例のないレベルで技術情報に関わるやり取り」をしており、安全に飛行を行ってきているとしている。
 しかし事故の根本的な原因と安全対策が報告されていないままでは、市民は到底納得できない。7月24日付けの渉外知事会の特別要請では、防衛省に対し、航空機事故等が起きた際に日本側の意向が十分に反映されるよう日米地位協定の見直しを強く要請している。
 地域からも声をあげていきたい。

 (座間市議会議員、歓迎しない会共同代表)

 

 
[解説]

在日米陸軍の再編について

第35CSSBから第765TTBへ再編
 キャンプ座間及び相模総合補給廠の在日米陸軍に再編成の動きがありました。第10支援群の下の米陸軍第35CSSB(戦闘維持支援大隊)が活動を停止、第765TTB(輸送ターミナル大隊)として再編成されました。7月31日には、キャンプ座間内において移行式典が行われています。
 (下記に関連記事の一部を掲載)
 再編の直接的な理由として挙げられているのが、昨年、横浜ノースドックに新編された揚陸艇部隊である第5輸送中隊が、この第765TTBの下に配置されるということのようです。また、下の記事では、「陸上自衛隊との統合性と相互運用性を向上させるという新たな役割を担う」ことになるとも書かれています。
 キャンプ座間及び相模補給廠の在日米陸軍は、これまでも輸送・兵站(ロジスティックス)が主ではありましたが、今回の再編は、水上艦艇も含む輸送・ターミナル機能の指揮系統をまとめ、陸上自衛隊との統合・相互運用も意識したものであることがわかります。
 自衛隊は今年度中にも海上輸送部隊を新編する計画を進めており、米軍との統合運用も想定していると考えられます。

 USARJ activates 765th TTB as only unit of its kind stationed overseas
 
在日米陸軍 この種別では唯一海外に駐留する部隊として第765TTBを新編

 第35戦闘維持支援大隊(CSSB)は、在日米陸軍の水上艦艇を支援し、インド太平洋地域における陸上自衛隊との統合性と相互運用性を向上させるという新たな役割を担うことになり、水曜日(7/31)にここで行われた式典で部隊旗を納めた。“きずなホール”内で行われた再編成式には100人以上が出席し、第35CSSBが第765輸送ターミナル大隊に正式に移行するのを見届けた。
 式典を主催した(第10支援群司令官)ホルト大佐は、第765TTBが日本で活動を開始することで、インド太平洋地域において必要不可欠な海上能力を提供する独自の位置づけが可能になると述べた。「この地域の輸送資産に対する要求がエスカレートする中、安全な海上ラインを運用・維持する第765部隊の能力は、我々の即応性と作戦維持を強化する。彼らは、米国陸軍が機敏で、即応性があり、どんな困難にも対応できることを保証する。」
 [CAMP ZAMA NEWS August 4, 2024 U.S.ARMY GARRISON JAPAN] より (機械翻訳で訳出)

第1軍団(前方)から米太平洋陸軍(前方)へ
 今回の再編でもう一つ重要な変化があります。これまでキャンプ座間の米陸軍のトップは、在日米陸軍/第1軍団(前方)司令部でしたが、第765TTB再編とともに更新された「在日米陸軍コマンド・ストラクチャー」では在日米陸軍/米太平洋陸軍(前方)司令部に変わりました。第1軍団(前方)は残っていますが、米太平洋陸軍(前方)の下になっています。 (*下の略図参照)
 今のところ、この新しい在日米陸軍のコマンド・ストラクチャーについての説明を見つけることはできませんでしたが、おそらく、今年7月28日の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)での合意事項に沿った変更と考えられます。
これまで在日米軍には作戦指揮権がなかったという理由で、自衛隊に新たに設けられる「統合作戦司令部」に対応させるため、在日米軍を作戦指揮権をもつ「統合軍司令部」に格上げすることを日米両政府が合意したのです。
日米の軍事統合化が進められ、米軍の指揮下で自衛隊が実際に戦争を闘う体制づくりが行われています。キャンプ座間でもそのような動きが具体化しつつあることを認識する必要があります。(編)








キャンプ座間ゴルフ場
米軍が防球ネットの補修工事を実施

 キャンプ座間ゴルフ場からのゴルフボールの飛び出しがいまだに続いていることは、本ニュース前号でも、相模原市議会・基地対策特別委員会の資料を紹介する中で取り上げました。
 その資料中の「キャンプ座間ゴルフ場周辺におけるゴルフボール発見等の状況(参考資料2)」によりますと、2021年度に3件、2022年度に6件、2023年度に5件と集計されています。
 歓迎しない会でもフィールドワークなどの機会にゴルフ場の状況を確認していますが、ゴルフ場周囲に張られている防球ネットに関しては、破損して穴が開いている個所などが目につきます。

 キャンプ座間の施設管理はU.S. ARMY GARRISON JAPAN(在日米陸軍基地管理本部)が行っていますが、そのウェブサイトに、「キャンプ座間ゴルフコースで安全性を改善するためネットの補修工事を実施中」との8月20日付記事が掲載されています。(その一部を下に載せました。)
 この記事によりますと工事は来月にかけて行われ、5番ホールのネットは交換、他の箇所は補修するとのことです。
 前に戻りますが、ネットの補修に関しては、相模原市議会・基地対策特別委員会の資料中にも「2022年8月から同年10月にかけて、米軍は、防球ネットの一部張替及び補修工事を実施している」とあり、ちょうど2年前にも補修工事をしていることが確認できます。にもかかわらず2023年度に5件のボール飛び出しが確認されており、ネットの補修がゴルフボールの飛び出し防止にどれほどの効果があるかは疑問が残ります。
 米軍人のための施設ということで各基地にゴルフ場が存在していますが、少なくともキャンプ座間のゴルフ場に関しては日本人プレーヤの利用がほとんどです。私たちは、引き続きキャンプ座間ゴルフ場のボール飛出しについて監視を続けると同時に、ゴルフ場の閉鎖・返還を求めて声を上げ続けていきます。
(編)

Camp Zama Golf Course undergoes net repairs to improve safety
キャンプ座間ゴルフコース、安全性向上のためネット補修を実施

 キャンプ座間ゴルフコースは現在、ボールがコース内に入らないようにするための継続的な努力の一環として、メッシュネットの大規模な修理を行っている。 来月完了予定のこのプロジェクトでは、コース5番ティー(ホール)のネットを交換し、コースと練習場の他のネット部分の穴とケーブルを修理する。
 「ボールがネットを越えないようにすることが重要なのです」とゴルフ場支配人のデール・ジョーゲンソンは言う。 今年初めの吹雪でネットの一部が破損したことを受けての改修である。
 [CAMP ZAMA NEWS August 20, 2024 U.S. ARMY GARRISON JAPAN] より (機械翻訳で訳出)


海老名に米軍ヘリが不時着
8月3日 厚木基地離陸機

8月3日午前、厚木基地を離陸した海軍ヘリが海老名市社家の田んぼに不時着した。予防着陸との事だが、先月7月28日にも和歌山県で不時着を起こしたばかり


不時着した米軍ヘリ MH-53E (写真提供:相原しほ神奈川県議会議員)

 ヘリコプターは厚木基地から山口県の岩国基地に向かった米海軍第15ヘリコプター機雷掃海飛行隊(HM-15: Helicopter Mine Countermeasures Squadron 15) 所属のMH-53Eで乗員は12名。不時着した機体の側面にはNAVYと書かれ、「BLACK HAWKS」という文字列も。さらに、垂直尾翼のテールコードは「TB」。
 HM-15は、米国東海岸バージニア州にあるノーフォーク海軍基地所属の部隊。
 不時着場所は海老名市社家の田んぼの中。相模川から1キロ弱の地点で社家小学校に隣接している。
 このヘリの飛行ルートをADS-Bというデータで追うと、午前10時40分に厚木基地を南に向かって離陸し、基地の西側を北に向かい、東名高速の上空を綾瀬市寺尾地区まで飛行、そこから東名高速綾瀬SIC上空で東名高速本線の真上に10時48分。ここから東名の上を海老名ジャンクションまで飛び、その後茅ヶ崎方面に向かい、10時51分に不時着した。
 午後0時31分に離陸し、厚木基地に帰投している。
 この不時着地点、相模川の河原では大勢の市民が川遊び、少し上流では厚木のアユまつりが行われており、周辺道路も渋滞気味、少し着陸場所を間違えれば大惨事になる危険性もあった。


ADS-Bによる事故機のトラッキング情報 事故現場

 6日前の7月28日には、和歌山県橋本市で米陸軍ヘリが不時着している。また、8月13日は沖縄国際大の米軍ヘリ墜落から20年、沖縄では抗議集会も開かれた。厚木基地関連では2013年12月、三浦市三崎に米海軍ヘリが墜落した事故も思い起こされる。
 今回の不時着について、海老名市の動きは速かった。
 内野優市長が「市民に衝撃が走っていると思う。米軍に原因究明を徹底してもらい、以後、起こらないようにお願いしたい」などと述べ、原因究明や再発防止、補償などを求めた。
 また海老名市議会も8月5日、米軍ヘリコプター不時着について、海老名市議会声明文を出している。
 こうした動きに対し、8月5日 防衛省南関東防衛局末富理栄局長が謝罪に訪れ、報道陣に公開された会談の冒頭、末富局長はおわびの言葉を述べ、米側に「引き続き米軍機の運用に際して、安全面に最大限配慮するとともに地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう求める」とした。 
 翌6日には米海軍厚木航空施設司令官も直接海老名市に赴き謝罪した。

(金子豊貴男・歓迎しない会共同代表)

[8月29日 綾瀬市 公開情報]
             米海軍ヘリコプターの予防着陸の原因等について
 令和6年8月29日、防衛省南関東防衛局より、米海軍ヘリコプターの予防着陸の原因等について、米軍から得た情報の提供がありました。
【情報提供の内容】
● 令和6年8月3日(土曜日)10時54分頃、海老名市の水田に米海軍第15ヘリコプター機雷掃海飛行隊所属のMH-53Eが予防着陸。
● 飛行中に予防着陸を促すランプが点灯したことから、パイロットは、安全手順に則り予防着陸を行った。
● パイロット及び乗組員は現場で必要な点検を実施し、当該機を米海軍厚木航空施設に飛行させることは安全上問題ないと判断した。
● 当該機は、米海軍厚木航空施設に帰着後、更なる検査を実施した結果、機体の設計上・構造上の不具合は確認されなかった。
● 米軍は、引き続き、飛行前の整備点検を徹底し、安全管理に万全を期する。
● 当該機について、機体に異常がないことを確認していることから、近日中に所属部隊の下へ帰投する予定である。
【市の対応】
● 情報提供を受け、当該機の帰投のための飛行を含め、全ての航空機の安全対策の徹底を米側に申し入れるよう、口頭要請しました。