発行日:2024年5月9日

キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を

歓迎しない会ニュース No.107

電子版


 
[報告]
2024.5.5
キャンプ座間フィールドワーク 2024春 を開催

 毎年、春と秋に行っているキャンプ座間フィールドワーク、今年の1回目を5月5日に開催、晴天にも恵まれ、19名の方に参加いただきました。参加が初めての方もいましたので、定番のコースでもある、相武台前駅(スタート)→大坂台公園→メインゲート前→座間公園→新戸公園→基地内横断道路(トンネル)→相武台前駅 の順でキャンプ座間の南側を歩いて周りました。
 南側は、在日米陸軍の主要な施設が集中しており、それらを見るのに適しています。逆に、北側はヘリポートとゴルフ場が大きな面積を占めており、歩く距離も長く、時間もかかります。

大坂台公園と一部返還地の施設など
 相武台前駅で集合し、簡単に自己紹介を行ってから最初に向かったのが大坂台公園。駅前を通る「行幸道路*」を西に向かって進むとキャンプ座間のメインゲートがありますが、その途中、市民体育館“スカイアリーナ座間”の手前の坂を登っていくと公園があり、隣接してスポーツ広場が広がり、奥にはキャンプ座間のフェンスが連なります。地域周辺が見渡せ、フェンス越しにキャンプ座間内の住宅などを見ることができます。

*「行幸道路」とは 小田急小田原線に沿って県道51号町田厚木線という道路がありますが、町田駅からキャンプ座間までの区間を「行幸道路」とも呼びます。現在のキャンプ座間には戦前、旧日本軍の陸軍士官学校があり、卒業式などに昭和天皇が来校するときにこの道路を使ったことからそう呼ばれています。そもそも、そのために作った道路ともいわれています。

 この大坂台公園から西南方向に進むと、隣接して2016年に米軍から国に返還された一部返還地(約5.4ha)になります。その一部を占めるスカイグリーンパーク(スポーツ広場、8300㎡)は、2022年4月1日の開園で多目的広場とパークゴルフ場が設けられています。この日、多目的広場は若者がスポーツの練習で使用していたのですが、パークゴルフ場は一組の家族が利用していたものの、広いゴルフ場がガラガラという感じでした。座間市としては維持費が毎年必要で、低調な利用には頭を悩ませているようです。




大坂台公園からキャンプ座間内を臨む



パークゴルフ場、一組の家族が利用していた

メインゲート前から座間公園へ
 スカイグリーンパークを下って、自衛隊家族宿舎を上方に臨みながら、座間総合病院の横を進むと、「行幸道路」沿いにキャンプ座間のフェンスが続き、さらに進むと基地のメインゲート前に到着します。休日なのであまり車の出入りはなく、なんとなくのんびりした印象でした。
 メインゲートは道路の北側にありますが、道路を挟んで南側にもゲートがあり、在日米陸軍の司令部庁舎などの主要な建物は、この南側に集中しています。メインゲートの北側は、どちらかというと公共施設、住宅、店舗などの居住エリアです。
 メインゲート前からさらに西に進むと、道路の両側がフェンスとなっており、基地の中を横切っているのですが、基地の西端の部分では道路が短いトンネルを抜けるようになっています。トンネルの上は基地とフェンスを挟んで座間公園になります。トンネルを通り抜けたところから坂道を上ると公園があり、フェンス越しに基地と接しています。
 ところで、このトンネルですが、「昭和十四年竣工」と彫られており、旧陸軍士官学校の頃に造られたもので、出入り口に「相模原隧道」と書かれた銘板があります。この銘板、文字が右から左へ横書きされていたはずが、今回見ると写真のようにピカピカのものに付け替えられていました。あとで調べてみたところ昨年春のフィールドワークでは、旧いままでしたので、この1年の間に新調されたようです。ちなみに、西側の出入り口の銘版は竣工当時のままでした。




キャンプ座間のメインゲート前で説明を聞く参加者


今回5月5日撮影

            
昨年5月4日撮影
 

 座間公園で目に付くのが3本のポールとそれぞれに掲揚された日の丸、星条旗、国連旗。日の丸と星条旗はわかるとしても国連旗はなぜ? 簡単な説明としてはキャンプ座間が「国連軍後方基地」であるからとなりますが、「国連軍」とは? など疑問は尽きません。ここでは詳しく説明できませんので、調べてみることをお勧めします。
なお、写真中央の星条旗が半旗になっていますが、調べてみたところ「2024年5月5日(日)、全米消防士追悼式に敬意を表し、すべての連邦政府庁舎で米国国旗が半旗で掲揚され、われわれの安全を守るために命を捧げたわが国の勇敢な消防士を称える」とのことでした。

新戸公園まで進みフィールドワークを終了
 座間公園から基地のフェンス沿いに北に進むと、座間市域から相模原市域になります。この辺りは陸上自衛隊の第4施設群の車両などが並び、景観もやや異なってきます。また、陸自の隊舎・庁舎も威容を見せています。基地内を横断する道路(相模原市道新戸相武台線)を渡って新戸公園に上り、陸自の隊舎裏に広がる米軍のモータープールを見てこの日のフィールドワークを終了。といっても、新戸相武台線のトンネルと掘割部分をひたすら歩いて相武台前駅へと戻る必要があり、結局約4kmのフィールドワークでした。
 参加の皆さん、お疲れさまでした。これからも続けていきますので、次回もぜひご参加ください。(M)



キャンプ座間内で掲揚されていた旗




市道新戸相武台線のトンネルでキャンプ座間の下を歩く

 

[本の紹介]

川名晋史著「在日米軍基地」中公新書

 4月28日付沖縄タイムスは、オランダ軍が沖縄県内で米軍の訓練に参加していたことが判明、日米安保条約違反と報じた。
 さらに、「在日米軍の施設・区域の使用は日米安保条約第6条で米軍には認められているが、それ以外の国の軍隊や兵士が訓練目的で使用することは認められていない。国連軍については県内では普天間飛行場、嘉手納基地、ホワイトビーチの3カ所を日本と国連軍地位協定を結ぶ11カ国が使用できる。だがオランダ軍とは国連軍地位協定を結んでいない上、北部訓練場は国連軍基地ではない」と国連軍地位協定にも言及している。


 
沖縄タイムス 2024年4月28日付

 ここでの「国連軍」とは、キャンプ座間が「国連軍後方基地」と呼ばれるのと同じであり、朝鮮戦争が始まった1950年に、国連安保理決議を基に米軍が呼びかけ、主導する有志連合軍としての「朝鮮国連軍」のことである。
 この「国連軍」がいまだに存在していることも驚くが、最近、その仕組みを利用した動きが、在日米軍基地でも顕著になりつつあることにも注意が必要である。
 紹介する「在日米軍基地」(中公新書)は、「朝鮮国連軍」としての在日米軍基地の経緯、そして「国連軍地位協定」の果たす役割について詳しく説明されており、現在問題となっていることを理解するうえでも非常に参考になる本です。(編)


 

2024年1月25日発行  1,210円






米環境保護局が初のPFAS規制を発表

海外の米軍基地は適用外?


米政府、飲料水のPFAS基準厳しく 日本の1割未満に
 米環境保護局(EPA)は、人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」について飲料水における含有基準を決めた。日本が定めた暫定基準値の1割未満に相当する厳しい水準にした。米連邦政府がPFASを巡り、強制力のある基準を定めるのは初めて。
 EPAはPFASのなかで毒性が強い「PFOS」と「PFOA」の基準値を1リットル当たり4ナノ(ナノは10億分の1)グラムと定めた。強制力のない目標値はゼロにした。両物質の合算で同50ナノグラムとする日本の暫定基準を大幅に下回る。
 「PFNA」や「PFHxS」など他の3種類のPFASと、2種類以上のPFASの混合物質についても基準値を1リットル当たり10ナノグラムと定めた。
 [2024/4/11 日本経済新聞電子版]より抜粋 *下線は引用者

 

米、PFASを有害指定 汚染者に浄化費求める / 海外の米軍基地は適用外
 米環境保護局(EPA)は、発がん性が指摘されている有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)のうち、PFOAとPFOSの2種類について、汚染者に調査や浄化費用の負担などを定めた包括的環境対策補償責任法(通称スーパーファンド法)に基づく有害物質に指定したと公表した。米国内では法規制を強化する一方、在日米軍基地など米国外における汚染浄化は国家間の取り決めによるとしており、沖縄への影響は不透明だ。
 米国防総省は、本紙の取材に「同法の対象は米本土と米国の領域・自治領の基地・施設に限定されている」と述べ、在沖基地などへの適用は、日本政府との取り決めに従って対処されるとの見解を示した。 
 [2024年5月1日 沖縄タイムス電子版]より抜粋 *下線は引用者